同じ本や漫画を重複して買ってしまったり、CD・DVDを視聴用と観賞用で買い分けたりと、同じ商品を複数持っている事があります。
これを買取業界では「同一タイトル(または、同一商品)」と呼びますが、いらなくなったから買取ってほしいと思っても、実は買取を断られてしまうことがあるのです。
なぜ同一タイトルの買取は拒否されることがあるのか、どうすれば売ることが出来るのかを調べてみました。
同一タイトルの定義と買取事情
買取店における同一タイトルとは「全く同じ本や漫画の巻数、CD、DVD、ゲームなどのアイテムこと」を指します。
例えば、「ワンピースの1巻を2冊」であれば同一タイトルとなりますが、「ワンピースの1巻と3巻」では同一タイトルにはなりません。
同様に、「通常版」と「初回限定版」など、同じ商品でもパッケージや特典が異なるものも同一タイトルとはみなされず、異なる商品として買取ってもらえます。
同一タイトルの買取はできない!?
買取店の利用規約や注意点を見てみると、同一タイトルの商品の買取を断っているお店が多くあります。
実は、この現象は買取店に限った事ではなく、リサイクルショップや不用品処分業者などのリユースショップでも同じ規定が設けられています。
また、ヤフオクや楽オクなどのインターネットオークション、メルカリやラクマなどのフリマアプリでも、同じ個人出品者が同一タイトルを複数売買することは違反とされています。
1人の人が同一タイトルを購入することは、何ら問題がないですよね。
それなのに、なぜ売る時になると規制がかかるのでしょうか?
実は、不正を防ぐための措置として、同一タイトルの売買が行われないような流れになっているの。
中古品の売買をするお店には「古物営業法」という法律があって、これを守るための取り組みなのよ!
同一商品の買取ができない理由
買取店などのリユースショップを利用する人のほとんどは、自宅の不用品や自分の所有物を整理・売却する目的です。
しかし一部では、お店の商品を万引きしたり他人の物を盗んで、買取店やオークション、フリマアプリなどへ売り、利益を得ようとしている悪質な利用者がいるのも事実です。
平成23年12月にTSUTAYAのイオンモール出店に際して、男子高校生3人から買取った約11万円分のCDなどが盗品の疑いがあるにもかかわらず、十分に確認をせず、警察への届け出も怠っていました。
TSUTAYAは、古物商を取り締まる東京都公安委員会から、当該店舗の2週間の買取・中古品販売業務停止の行政処分を受けています。
TSUTAYAと同年月に大手リユースショップ「ゲオ」でも、未成年の少年3人が万引きしたゲームソフトを売り、東京都内22店舗で約135万円もの換金を行っていることが発覚、事件となりました。
未使用品を示すフィルム包装がされていたにもかかわらず、少年らがフィルムを剥がすとそのまま店員が買取を行ったとして刑法に抵触し、店舗の家宅捜索を受けました。
平成29年7月、徳島県内の書店「平惣」で大量の万引き被害が発生し、店舗スタッフがメルカリへの出品を発見したことで、犯人の特定・逮捕に至りました。
これを報じた週刊新潮では、メルカリは盗品の出品防止に関する警察からの要請を蔑ろにしていたり、裁判のための情報開示に消極的な姿勢を指摘しています。
上記の事件は一例で、報道の有無に関わらず、多くの盗品被害が日本全国で相次いでいます。
万引き被害は小売店だけでも年間4,600億円にのぼると言われており、多くの人が中古品を気軽に売買できるようになったことで、リユースショップやネットオークション、メルカリなどでの盗品の売却事件が問題視されているのです。
犯罪を防げ!買取店が行う盗品被害撲滅運動
上記の様な背景があり、多くの買取店では自店が盗品の可能性がある商品を誤って買取ってしまわない様に、いろいろな取り組みを行っています。
身分証の提示や住所所在地の確認などいくつかありますが、その中の一つが、「同じ顧客から、同一タイトルを複数点買取らない」という規定なのです。
同一タイトルを複数点買取ることは盗品売買の被害が拡大することにつながるため、「基本的に、1人が同じ商品を複数購入することはないだろう」という考えの下、同一タイトルの買取点数が制限されています。
もし、買取店が盗品を買取ってしまったら、違法行為に当たるのですか?
盗品の売買をした場合、古物営業法(警察への報告義務違反)や刑法256条の「盗品等有償譲受け罪」にあたるから、盗んだ人や売った人だけでなく、お店も厳しく処分されるの。
だから犯罪を未然に防ぎ、お店も安全に営業するために、あえて同一タイトルの点数制限をしているのよ。
現実的には、特定のタレントやアーティストのファンが目的・用途別に、同一タイトルを複数購入するのはよくある事です。
電子化が進む現代では本や写真集、CD・DVDがなかなか売れず、販売企業側も「AKB商法」や「EXILE商法」と呼ばれる様々な特典で、必死にオトク感や限定感を出そうとしています。
当然、ファンはその特典目当てで購入する訳ですから、1人で同一の商品を複数購入することは珍しいことではありません。
しかし、そのアイテムを買取ってもらう場合には、必ずしも同じお店で全て売れるという訳ではないので注意が必要です。
ここなら売れる!同一タイトルOKの買取店
ただし、間違えてはいけないのが「古物営業法や刑法では、同一タイトルの買取を制限している訳ではない」という事です。
あくまでも定められているのは、下記3つの項目についてです。
- 盗品でないか確認すること(依頼者の身分や商品の確認)
- 盗品の可能性がある時には、警察へ報告すること
- 盗品だと知りながら(知り得る状況で)買取しないこと
つまり、同一タイトルの点数規制はお店の任意で定められている事なので、全ての買取店で売れないという訳ではありません。
買取店の中には複数購入の現状を理解しており、店内での盗品確認を強化することで、同一タイトルの購入を受けて入れているお店もあります。
同じ商品を売りたい時は、下記のお店を利用すると一度にまとめて買取ってもらうことができます。
漫画・本、CD・DVD、ゲーム、フィギュアの同一タイトル買取店
店名 | 取扱いジャンル | 同一タイトルの制限 |
---|---|---|
VALUE BOOKS | 本類全般、ゲーム、CD(アルバム)、DVD | 制限なし |
専門書アカデミー | 参考書、専門書、教材、教科書 | 制限なし |
Vaboo | 漫画・本類全般、ゲーム、CD、DVD | 10点まで |
もえたく! | フィギュア、抱き枕カバー、ドール、キャラグッズなど | 2点まで |
2次元美少女買取王国 | フィギュア、抱き枕カバー、タペストリー、ドール | 2点まで |
駿河屋 | 漫画、ゲーム、CD、DVD、フィギュア、同人系、アイドルグッズなど全18ジャンル | 制限なし ※要事前連絡 ※点数によって、入手経路の調査あり |
※ブランド品や着物は万引きの恐れが少なく、愛用品をリピートする顧客も多い事から、同一商品であってもほぼ全てのお店で買取が可能です。
同一タイトル・商品の買取はお店の規約をチェック!
買取店など中古品の売買をするお店では、盗難品の流通防止である古物営業法に則って、営業されています。
漫画や本、CD、DVD・ブルーレイ、フィギュアなど定価のそれほど高くないアイテムは、万引き被害が起こりやすく、買取店などで現金化される恐れがあるため、同一タイトルや同一商品の買取に制限を設けているお店も多くあります。
「保存用・観賞用など用途で買い分けている物を売りたい」「誤って同じ商品を重複して買ってしまった物がある」「家族の不用品もまとめて売りたい」という時は、同一タイトルの買取を行っているお店かどうか確認してから利用しましょう。